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アニー・ホール

映画 ウディ・アレン

ウディ・アレンの映画「アニー・ホール」を観た。

 知性とウィットに富むが15年間精神科通いのコメディアン、アルビー・シンガーをウディ・アレンが演じ、昔の恋人アニー・ホールとの出会いから別れまでを回想するラブ・ロマンスである。ストーリーに特別の面白みを感じないが、斬新な映像表現(アニメやら唐突な画面の分割やら)と長回しの会話、ギャグ&ファッションセンスが映画の魅力を高めている。別れへ向かう物語なので悲しみを帯びているが、そうでありながらも軽妙で笑える作品である。

 この映画で最も印象的なのはキッチンを這い回る料理用のロブスターを捕まえるシーンだ。怯えてなかなか捕まえようとしないアルビー、「それなら私が」とアニーが捕まえてみせ、彼にロブスターを持たせて写真撮影を始める。出会って間もない二人が他愛もないことで騒ぐ幸せな様子をユーモラスに描いている。

 やがて二人の関係は破綻し会わない日々が続く。そんな時にアニーからの至急の呼出が入る。アルビーが駆けつけると「蜘蛛を退治して欲しい」とのことだ。ここで壁面に貼られたロブスターを持つ彼の写真が映るのだ。私たちは幸せな二人の姿を思い出すと同時に、アルビーに退治できる蜘蛛をアニーが退治できないはずがないということに気がつく。案の定、蜘蛛が退治できないというのはただの口実で、アニーは彼に会えないことを寂しがっていただけなのだ。

 この一件で二人は元の鞘に戻るが結局は別れてしまう。別れた後にアルビーは別の女性とロブスターのくだりを再演するのだが、アニーと一緒だとあれほど楽しかったのに同じことをやってもどうにもつまらない。こうして彼はアニーが自分にとってどれほど大切だったのかを身にしみて感じるというわけだ。

 ロブスター獲りは笑えるモチーフだが、作中に繰り返し登場させられることで笑い以上の意味が付与されていてうまくできているなあと感じた。もしかするとこうしたやり口はウディ・アレンの常套手段で、それが作品に軽妙な笑いと乾いた悲しみのようなものを与えているのではないだろうか(他作品をほとんど観ていないので適当に言っているだけです。。)