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ゴッホ~最期の手紙~

ゴッホ~最期の手紙~を観た。

 

96分間全編を油絵で描く驚異のアニメーション映画である。ファン・ゴッホ風のカラーシーンと幾分写実的に描かれたモノクロシーンで構成されており、前者の筆致・色彩はまさに画家のそれそのものだ。肖像画の人物達は生き生きと動き、風景画に描かれた木々や建物を三次元的に回り込むような視点で眺める。動画にすることで切り取られた一瞬であるという絵画作品の静的でもあり動的でもある性質が強調されているように感じた。

 

ストーリーはファン・ゴッホが生前に残した一枚の手紙を巡り画家の自殺の瞬間を探るサスペンス風で、主人公には郵便配達人ルーランの息子が選ばれている。将来に不安を感じる青年が画家の人生に魅かれていく様子につられて僕もぐいぐいと引き込まれていった。画家の描いた肖像画のモデル達がキーマンとなり画家について語る中で、「狂った画家」という画一的なゴッホ観を揺さぶる内容で物語としても面白い作品だった。