1950年代の代物なので製造から60〜70年は経過していることになる。
実にロマン溢れる佇まいだ。
開腹したところおそらくフルオリジナルで状態もサウンドも良い。
ただ付属のケースが問題である。
この年代だと致し方ないことだが外周はがっちりとガムテープで補強されている。
剥がすとご覧の通りの有様だ。
他に問題点としては樹脂製の持ち手が破断していた(↑の画像はすでに修繕済み)
またネックを固定する枕が欠品しているので内部でギターが動き放題の状態である。
今回はこのケースを修理した。
早速だが修復後の姿である。
多くの接合部は剥がれており箱の形を保つことができていなかったので、釘で接合し直した。
ひたすらドリルで下穴を開けて釘を打ち込んでいく。
オリジナルにはない釘頭が外面に露出する形になった。
真鍮の風合いが雰囲気と合うので気に入っている。
また接合部の木部の欠けは埋木で補修した。
もとはまっさらだがコーヒーの粉で煮込んだ木片は古色を帯びた色合いになる(芋けんぴみたいだ
破断した樹脂製の持ち手については部品が欠品していたのでレザークラフトで製作し直した。
レザーは父の趣味である。
良い感じにチープで古めかしくケースに似合ったものを拵えてくれた。
欠品していたヘッドレストも1から製作した。
渋谷のTOAという布屋でなかなか近い色合い風合いのビロードを見つけることができた。
木を切り、布を貼り付けていく。
こういう作業は一度ではうまくいかないので何度か試行錯誤が必要だ。
木と布の接着にはカネスチックという接着剤を使用した。
パッケージがレトロだ。
楽器がぴったりと収まった瞬間は気持ちが良い。
ギターを納めた全体像はこんな感じ。
元々は裏蓋が途中で止まらず、ぺたんと180度あちら側に倒れてしまうひどい状態だった。
ばっちりと楽器ケースとして機能するように修復が完了した。
いくらか練習したらこのケースを片手にブルースセッションに乗り込むつもりだ。